Interview

在学生・修了生の声

文学研究科

T.J.さん

在学生

総合人文学専攻
博士課程後期課程 2022年4月入学
(入試種別:一般入学試験)
勤務先:国家公務員研究職

※掲載内容は、原稿作成時のものです。

現在の仕事において大学院での研究や学修が生かされている場面や、学部卒業で就職をしている方との違いを実感する場面

私は現在、国家公務員の研究職として働いています。国家公務員の研究職とは自身の専門と関連のある省庁に勤務して調査研究をおこなう職を指し、私の場合は所属官庁に保管されている出土品や墳墓に関する考古学的な調査研究をおこなっています。調査研究の対象には、私が大学院で研究対象とした城郭だけでなく、古墳時代から近代までさまざまな時代の遺構・遺物も含まれるため、幅広く知識を身につけ、業務に生かす必要があります。大学院の時に明日香村で携わった発掘調査の経験や関西大学博物館での学びが生かされていると感じます。また、考古資料だけでなく古文書や公文書を扱うため、いわゆる崩し字などを解読する必要がありますが、大学院にて学んだ古文書に関する知識や古墳に関する古文書を解読した経験が生かされています。埋蔵文化財行政では大学院卒で就職される方がほとんどで、研究能力や調査研究の計画能力・経験値を踏まえても学部卒では柔軟に対応できない場合が多いです。また、専門性が求められるため、同じ大学院卒でも修士課程卒より博士課程卒の方が重宝されます。世界遺産など国際的な場においては、博士号を持っているかで、専門性の有無を判断されます。なお、私が就職した国家公務員研究職は大学院修士号取得相当の能力を有していないと応募できません。

出願に先立って志望の指導教員へどのような相談をしたか、相談してよかった点

私は、博士課程前期課程1年の冬(12月から1月ごろ)に相談しました。一般的に翌年度には就職活動をして修士卒で働かれる方が多い中、後期課程に進学すると安定した収入がないわけですので、金銭的な面を含めて研究に集中できる環境をいかに作り出せるか考えていました。指導教員からは、日本学術振興会特別研究員(DC1)に応募することをすすめられ、関西大学の研究支援・社会連携グループに相談しながら申請書を作成しました。9月には日本学術振興会特別研究員(DC1)の内定をいただき、金銭面での不安無く受験することができました。

奨学支援制度の利用にかかる経験談、よかった点

大学院入学試験の成績で関西大学大学院特別給付奨学金をいただいたため、金銭面での不安が無い状態で学業、調査研究に集中できています。調査研究には、交通費や宿泊費が必要となりますが、計画的に運用し、充実した研究をおこなえています。

お仕事との両立の工夫等について

両立に向けて、まず、大きな目標と時期を定め、それに向けた小目標を時期ごとに計画しました。つづいて、一年間の仕事内容、繁忙期などの把握や、先輩職員に両立の仕方を伺うなどして、無理なく両立できるように予定を立てていきました。
結果として平日は、夜は早めに寝て体力を回復し、出退勤の移動時間に先行研究を読み、その内容を翌朝に整理しています。土日は朝から夜まで国会図書館に詰めたり、全国の事例を踏査したりしています。
一年を通すと、4~9月の仕事は文書作成業務が多いので、研究では先行研究や事例の収集(インプット)を中心におこない、業務で長期出張の多い10月~3月は論文作成(アウトプット)をおこなうようにして、業務と研究で異なる作業となるよう心がけています。